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玄関の寒さとヒートショック。公的統計で見る温度差の影響と、玄関ドアでできること・できないこと

玄関の寒さとヒートショック。公的統計で見る温度差の影響と、玄関ドアでできること・できないこと

ヒートショックは、暖かい部屋から寒い場所へ移動したときの急な温度差で血圧が大きく変動し、体に負担がかかる現象です。玄関は家の中でもっとも冷えやすい場所のひとつで、冬の玄関・廊下・脱衣所は「寒い場所」の連なりになりがちです。この記事では、消費者庁と国土交通省の公表資料をもとに、温度差と健康の関係、玄関ドアの断熱でできること、玄関ドアだけでは解決しないことを整理します。

温度差と事故の関係(公的な統計)

消費者庁は、冬季に高齢者の入浴中の事故が増えることを繰り返し注意喚起しています。厚生労働省の人口動態統計にもとづく数値は次のとおりです。

項目(令和5年・65歳以上)人数
不慮の溺死及び溺水8,270人
うち浴槽での事故6,541人
うち家や居住施設の浴槽6,073人

同資料では、10年間で「『不慮の溺死及び溺水』による死亡者は31%増加」し、「特に12月、1月といった冬場に多くなって」いるとしています。原因として「温かい室内と寒い脱衣所や浴室との寒暖差などによる急激な血圧の変動」が挙げられています(出典:消費者庁「コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―」)。

⚠ この統計は浴室での事故で、玄関での事故の統計ではありません。ただし「家の中の温度差」が問題の中心である点は、玄関にも当てはまります。

断熱と血圧の関係(国土交通省の調査)

国土交通省は、住宅の断熱改修と居住者の健康の関係を継続的に調査しています。第3回の中間報告(平成31年1月)では、断熱改修を予定する住宅の居住者4,131人(2,307軒)と、改修済み住宅の居住者1,194人(679軒)を対象に、次の知見が示されています。

  • 「居住者の血圧は、部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い」
  • 「断熱改修後に、居住者の起床時の最高血圧が有意に低下」
  • 「室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい」

出典:国土交通省「断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)」(実施:一般社団法人日本サステナブル建築協会)。

ここで重要なのは「部屋間の温度差」です。リビングだけを暖めても、玄関・廊下・脱衣所が冷えていれば温度差は残ります。

玄関が「温度差の起点」になる理由

玄関は、外気に接する面積が大きい割に暖房されない場所です。とくに古いアルミ製のドアは断熱材が入っておらず、外の冷たさがそのままドアの室内側に伝わります。冷えた玄関の空気は廊下へ流れ、廊下に面した脱衣所やトイレの温度を下げます。

お客様の声にも、この連鎖を記述したものがあります。「冬季は玄関ドアの結露が酷く玄関タイルに黒カビが発生、特に気温の下がるの夕方から深夜早朝は、コールドドラフトで冷気が家全体に広がり床面とその他空間の温度差が大きく結果的に寒い家になっていました」(2023年1月・広島県)。玄関ドアの断熱の仕組みは玄関ドアの断熱リフォーム|熱貫流率で見るグレードの違いと寒さへの効果で扱っています。

玄関ドアの交換でできること・できないこと

できること

  • 断熱仕様のドアに替えることで、ドア面からの冷えと隙間風を抑え、玄関・廊下の温度低下をゆるやかにする
  • 玄関とつながる空間(廊下・階段ホール)の温度差を小さくしやすくする
  • 結露を抑える(ドアの室内側が冷えにくくなるため)

できないこと

  • 脱衣所・浴室そのものを暖めることはできない。ヒートショック対策として直接効くのは、脱衣所・浴室の暖房と、その部屋の断熱です
  • 玄関と居室が扉で仕切られている間取りでは、玄関の断熱が居室の温度に影響しにくい(効果が出にくいケース参照)
  • 窓が多い家では、窓からの熱の出入りのほうが大きい。ドアだけを替えても家全体の温度差は残る

つまり、玄関ドアの交換は「家の中の温度差を小さくする対策のひとつ」であって、ヒートショック対策の中心ではありません。浴室・脱衣所の暖房と窓の断熱を先に検討し、玄関ドアはそれを補う位置づけで考えるのが妥当です。

窓とセットで考える

国の補助金(先進的窓リノベ2026事業)でも、玄関ドアの交換は窓の工事と同一契約・同時申請が条件です。制度の条件と、断熱の観点からもセットが合理的である理由は玄関ドアと内窓をセットで。補助金の条件と断熱の考え方で扱っています。脱衣所や浴室の窓に内窓を付ける工事は、姉妹サイトの内窓リフォームネットで扱っています。

よくある質問

玄関ドアを断熱にすれば、ヒートショックは防げますか

防げるとは言えません。ヒートショックの主な現場は脱衣所・浴室で、玄関ドアはそこを直接暖めません。家全体の温度差を小さくする対策のひとつとしてお考えください。

高齢の親の家で、まず何をすればよいですか

脱衣所と浴室の暖房、次に窓の断熱、そのうえで玄関・廊下の冷えという順番が、温度差への効き方の順序に沿います。高齢の方の玄関ドアで見るべき点は高齢の親の家の玄関ドア。重さ・鍵・段差・明るさの4点で見直すにまとめています。

光熱費はどのくらい変わりますか

金額の目安はお示しできません。住宅の断熱性能・間取り・地域・暮らし方で変わるためです。

まとめ

  • 令和5年、65歳以上の浴槽での事故は6,541人。冬場に多く、寒暖差による血圧変動が原因のひとつ(消費者庁)
  • 国土交通省の調査では「部屋間の温度差が大きい住宅で血圧が有意に高い」「断熱改修後に起床時の最高血圧が有意に低下」
  • 玄関は温度差の起点になりやすい。断熱ドアは玄関・廊下の冷えと隙間風を抑える
  • 玄関ドアは脱衣所・浴室を暖めない。対策の中心は浴室・脱衣所の暖房と窓の断熱
  • 補助金の条件からも、窓とセットで考える

玄関の冷えがどこから来ているかは、現場で見れば分かります。玄関ドアSHOPでは無料の現場調査・採寸を承っていますので、お気軽にご相談ください。

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